2026年度 中学入試問題分析|麻布中の社会に見る「考える」入試

中学入試問題分析

中学入試の社会は、暗記科目から「考える」科目になっています。文章題・図表問題・資料問題などが多く出題されます。

この記事のポイント

  • 中学入試の社会は、知識を覚えるだけでは対応しにくくなっている
  • 文章題・図表問題・資料問題では、読み取る力と考える力が必要
  • 麻布中の社会では、課題文を通じて新しい内容を学びながら考える力が問われる

中学入試の社会は「暗記」から「考える」科目へ

文章題は、先を読みながら課題文を読む読解力が必要です。先を読めるようになれば、本文を読まなくても答えられるようになります。

ただし、論述問題では学校や塾では教わっていないことを本文で説明している場合もあるので、上位校では必ず本文を読みましょう。

また、表面的な覚え方では、あいまいな箇所を問う正誤問題に答えられません。論述問題でも「説明しなさい」といわれても説明できません。覚えたら、それを誰かに説明してみるといいですね。他人に教えることで、自分がうろ覚えだったと気づきます。

歴史分野の年代順並べ換え問題でさえも、暗記して答える問題ではなく、原因・結果や時代背景で判断して答える思考問題になっています。年を覚えているだけだと、1つ忘れてしまうだけで、順番に並べられなくなります。そのため、歴史年代を覚える必要はないと説明会で発表する中学校もあるほどです。

社会の学習で大切なこと
用語を覚えるだけでなく、「なぜそうなったのか」「どのような影響があったのか」を説明できるようにしておくことが大切です。

2026年度 麻布中の社会入試問題

そこで、有名中学校の2026年2月実施の入試問題を解説してみましょう。
まず初回は、社会が独特なことで有名な麻布中の2026年度の入試問題です。

麻布中の問題構成

麻布の問題は例年どおり大問1つです。好奇心の旺盛な受験生であれば、どんなことが書かれているのか楽しみながら問題文を読めます。テストを解くことで新しいことを知るはずです。

課題文の内容

以下のような文章が、ひとまとまりの課題文として提示されます。

  1. 藤原京や平城京・平安京など大規模な都をつくると、木材が不足します。
  2. 平安貴族は全国から木材を取り寄せ、さらに鎌倉時代には木材が商品として流通し始めます。
  3. 戦国時代には城づくりを通じて、土木工事が発達しました。
  4. 江戸時代になると、その土木工事の技術を使って新田開発がおこなわれ、人口増加を支えました。
  5. そのため、肥料となる草や葉をとるための草山もより広く必要になりましたが、草の根が浅く、土砂くずれの被害も出るようになり、江戸時代には森林の保護が進みます。
  6. たとえば、5代将軍徳川綱吉は近畿地方に土砂災害対策を命じています。
  7. ところが明治時代には、森林が私有化されたことが森林にとって大きな転換点になります。
  8. 所有権にもとづいて山林は私有地と国有地に整理され、所有者ではない人びとは山林を自由に使えなくなり混乱もありましたが、所有者は自分の森林で利益を得られるようになります。
  9. そして産業の発展とともに、近代的な林業が盛んになります。
  10. 戦後もしばらく林業は主要な産業でした。
  11. 高度経済成長で宅地開発が進み、木材の需要は増え続けましたが、1964年に木材の輸入が自由化されると、価格の安い輸入木材が輸入されて国産材が衰退しました。
  12. そして山林を手放す所有者も増え、山林は荒れていきました。
  13. 今後の山林のあり方について受験生に問いかけます。

テーマは「利用と保護」

このように、課題文は「利用と保護」をテーマとしています。この中で、木材の消費量と自給率の移り変わりの図表が掲載されています。そして「森林とどう向き合うか」と問題提起をします。

問題は基礎知識をもとに考える問題もあり、その一方で、どのような影響があるのかを考えさせる思考問題もあります。

徳川綱吉の再評価にも注目

問6の史料問題で、徳川綱吉のお触書『御触書寛保集成』が出ていました。

日本の歴史では徳川綱吉や田沼意次の再評価がなされ、大学入試や中学入試でよく出題されるようになりましたが、麻布中でも山林の保護をした人物として登場してきました。再評価されている人物として注目しておきましょう。

資料を読み取り、理由を考える力

また、インドネシアの主な木材製品の輸出量の移り変わりも掲載されており、インドネシアが丸太から合板・パルプに輸出品を切り替えたことの理由を問う問題もあります。

日ごろから考える習慣を身につけるといいでしょう。

課題文は全部読む必要があるのか

実は受験生や保護者様から、課題文は全部読む必要があるのかとよく問われます。

先を予想しながら課題文を読むことができれば、傍線部の前後を読めば答えられると思います。そのためには、国語の説明文を日頃からよく読んでおくといいでしょう。

ただし、麻布中の場合は新しい内容を盛り込むことが多いので、どんなことが主張されているのか目を通しておいた方がいいでしょう。

受験生へのアドバイス
麻布中の社会では、知識だけでなく、課題文を読みながら「何が問題になっているのか」「どのような変化が起きているのか」を考える姿勢が大切です。

入試データ

国語 60分 / 60点
算数 60分 / 60点
社会 50分 / 40点
理科 50分 / 40点
合計 200点満点
2026年度最高点 159点
2026年度最低点 102点

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